●これからの筑波研究学園都市今後筑波研究学園都市の整備に向けて<提言> (今後の筑波研究学園都市の整備に関する研究委員会,平成9年11月) はじめに 筑波研究学園都市は昭和38年の閣議了解により国家プロジェクトとして建設が始まって以来30余年を経過し、今では、国・民間合わせ約300に及ぶ研究機関・企業の集積する科学技術都市として、「つくば」は世界に通用するブランドに成長した。間近に迫った21世紀に「科学技術創造立国」として国家の活路を拓こうとする我が国としては、この筑波研究学園都市の集積効果の活用は、今、まさに喫緊の課題である。
しかし、本都市は、中心部に未利用地が多数点在しているなど都市としての集積度が低く、加えて、公共交通機関が脆弱であることなどにより生活利便性は不十分であり、研究者等の定住化も遅れている傾向にあり、都市としての成熟度は必ずしも高いとは言えない。また、我が国の科学技術振興のための拠点として集中整備がなされ、国際的にも有数の高度研究機関の集積した効果が産業や社会に十分活かされるまでには至っていない。さらに、国際的研究水準の科学技術・学術研究成果をこれまで以上に数多く生み出し、多くの内外の研究者が集う国際研究交流拠点が形成されなければならない。このように、「つくば」はまだまだ「未完の街」であり、ここまで育て上げてきた貴重な財産を、未完のまま途中で放棄することは許されるものではない。
一方、本都市はパイロットモデル都市として、真空集じんシステム、ハイブリッド型CATV等多くの先端的都市施設が導入され、他の大規模ニュータウン開発等に活かされてきた実績がある。今後も、省エネルギー等環境との共生、多様なライフスタイルの共生、緑に囲まれた美しいアーバンデザインなど、新しい都市づくりの課題に果敢に立ち向かい、ここでの成果を広く全国に還元していく役割を担うべきであろう。この観点に立っても、本都市は永遠に「未完の街」として未来に向かって挑戦を続ける先導的モデル都市であり続けることが必要である。
つくばエクスプレス建設や首都圏中央連絡自動車道の整備が図られ、周辺開発地区の大規模都市開発整備が推進されようとする新たな段階に入った今、「つくば」の現状を改めて見つめ直し、今後のあり方についてお互いが共通の認識を深めることは極めて意義深いものと考える。
本研究委員会は、平成8年12月、国土庁および茨城県により、今後の筑波研究学園都市の整備についての調査を委託されて以来、9回にわたり会議を開催し、その間、現地の視察、関係者からのヒアリング、一般市民に公開されたフォーラムの開催等を行い、検討を重ねてきた。また、平成9年9月には、国土庁大都市圏整備局長から、今後の筑波研究学園都市の整備について、改めて意見を求められた。この度、これら検討の結果を踏まえ、提言を取りまとめるにあたって、関係者が本都市の更なる育成に関して共通認識を持ち、本提言が今後の施策に活かされることを切に期待するものである。
|